こんにちは。今回は「法人タクシーの運行管理」(正社員)の仕事をご紹介致します。

こちらは野の字様にお聞きした体験談です。

仕事概要

国家資格「運行管理者」の所持が必要となるタクシーの運行管理業務のほか、タクシー乗務員さんの労務管理と、タクシー車両の料金メーターや各種表示の適法管理、売上の納金処理、交通事故処理、接客苦情の処理など、タクシーの適正営業を保つための総合的な管理業務です。

雇用形態

正社員

【労働時間】

定時は6:0014:30となっていて、そのうち1時間休憩として所定労働時間は7.5時間です。別途当直勤務があり、当直時の拘束時限は12:00~翌8:00となっています。空いた時間で適宜仮眠をとります。

【労働日数】

年間281or282日(月7日公休、年間休日84日)、そのうち月5回程度は当直勤務

面接内容

部長クラス6人対1人の個別面接と、社長面接の2回がありました。

質問内容としては、部長面接では飲酒喫煙の有無、早朝出勤に耐えられる自信はあるか、通勤方法はどうするのか、といった身の回りのことのみを問われました。

社長面接では、大学で経験したことの内容と、運輸業への興味がどれほどか、といったことを問われました。「父が労働基準監督官をしており、タクシーの特殊な勤務体系に興味が出て志望しました」と言うと、「なんだぁ!監督署かぁ!」と、驚嘆と不服の気持ちが入り混じった大きな声を出されましたが採用されました。

職場の男女比・年齢層

運行管理者のみでは、501で男性の方が多いです。タクシー乗務員さんを含めてもほぼ同じ状況下にあります。車両の整備職は男性のみ、その他、事務や清掃のパートさんは124で女性の方が多くなっています。

【職場の年齢層】

会社にもよるのでしょうが、運行管理者の平均年齢は40歳程度、タクシー乗務員さんの平均年齢は63歳程度です。同業他社よりも高齢化が進んでいました。ちなみに、私が在籍していた会社でのタクシー乗務員さんの雇い止めは75歳で、運行管理者と整備職は60歳定年で65歳まで本人希望で嘱託勤務が可能となっています。

【その職場での専門道具の名称】

運行管理者の仕事は前述のとおり、総合管理なので、特に職人道具のようなものはありません。昔は「タコチャート紙」というもので走行実績を管理していました。しかし今はデジタル化されたので、ほとんどの会社でUSBメモリやコンパクトフラッシュ等のメモリーカードを使って走行記録の管理を行っています。タコ紙は絶滅寸前の状況です。

仕事内容詳細~日勤偏~

タクシー乗務員さんは朝早めに出庫し、翌日早朝に帰庫します。運行管理者、特に新人は遅くとも朝6:00までに出社し、乗務員さんが出勤する前に、タクシーを出庫しやすい位置に移動させておく等のお膳立てを行います。大げさにいうと、乗務員さんの小間使いといった感じです。「俺の乗る車どこだ?」と聞かれる前に、「あちらにご用意をしておきました」などと木下藤吉郎よろしく振舞っていると気に入られます。

そして、長い仕事を終えて帰ってくる乗務員さんもいますから、この一日何も異常がなかったかどうか、終業報告を聞いて売上げの確認を行います。日勤の運行管理者が出勤する前までは、当直勤務の運行管理者がこれを行います。当直勤務については後述します。

乗務員さんが出社してきたら、今日乗務する車両を伝え、その車の日常点検に向かわせます。車両の指定は「配車業務」と呼ばれています。前日までには、どの乗務員がどのタクシーに乗るのかを配車担当者という人が決めています。配車担当者は、たいていは若手~中堅クラスの運行管理者が務めます。当日の朝に配車担当者が不在となる場合は、手近な管理者に、乗務員さんと車の番号の組み合わせの内容を引き継いでおきます。もちろん、前日に事故や故障が生じて車が動かせない状態になった際は、当日に急遽別の車を指定する等といった臨機応変な対応が必要となります。ちなみに、車両数100台規模の営業所ですと、交通事故は多いときで月に25件程度起きますから、ほぼ毎日、当日にあたふたと車のやりくりをしていることになります。

乗務員が今日乗る車の点検を終え、事務所に戻ってきたら、出庫前点呼を行います。基本的には配車担当者の仕事ですが、不在または取り込み中の場合は、それ以外の運行管理者が行います。今日の乗務にあたっての注意事項や通行止め情報を伝え、接客用語のコール&レスポンスを行います。出庫前点呼は、運行管理者またはその補助者が実施するように法令で定められていますので、毎日、出庫する全ての乗務員について行わなければなりません。

点呼が終わった乗務員から出庫していくので、スムーズに出庫できるよう、道路前に立って誘導したり、駐車場内の邪魔な車を移動したりします。新人がやらされることが多いですが、「出庫立会」という法的に必要とされている運行管理者の業務です。

この出庫立会を利用して、車内の清掃状況や装備品の確認等を行います。もし車内広告が業者から届いていた場合は、一台一台、出庫前の車に貼り付けていきます。

さて、昼前までには、昨日出庫した全ての乗務員さんが帰庫し、納金処理を終えていますので、現金を銀行へ入金するために運びます。金額が大きいため社用車で移動します。

昼過ぎ迄にはほとんどの乗務員さんが出庫していきますので、余ったタクシーを整然と並べなおします。明日の朝早く出庫する予定の車は前、遅い時間の出庫車両は後ろ、と考えながら整理しておく必要があります。

昼食休憩の時間は厳密に決められてはいませんが、各自、昼前後の時間帯で1時間ずつ休憩をとります。

午後は、交通事故担当者は事故報告書の整理や修理先工場の見積確認、配車担当者は翌日以降の配車を組む、といった、各自のデスクワークを行います。午後、といっても定時は14:30ですから、すぐに終わってしまいます。

若手で特に自分専用の仕事を任せられていない者は、タクシーの車検回送や、料金メーターの定期検査所への車両回送を行います。タクシーの車検は年に1回、料金メーターが正常に作動しているかどうかの検査も年1回が義務付けられていますので、100台ある営業所では、2日に1回はなんらかの理由でタクシーを運転し、外に出ることになります。無事に帰ってきたら一日は終了です。

【仕事内容の詳細~当直編~】

次に当直勤務です。月に5回程度、昼に出社して会社に泊まり、翌朝帰る、ということが必要になります。タクシー走行中は、運行管理者を事務所内に常駐させておかねばならないのです。

実は、夕方から夜間にかけて出社して日付が変わった早朝にすぐ帰ってくる、というシフトの乗務員さんもいるため、当直勤務者は14:30以降、一人きりで彼らの相手をします。彼らに乗る車を指示して、点検を終えて帰ってきた彼らに出庫点呼を行うのです。点呼は法律で実施が義務付けられていますから、新人管理者でも当直をするようになったら、配車担当者の見よう見まねで出庫点呼をしなければなりません。

夜出社の乗務員さんが全て出庫したら、寝ます。寝るといっても、事務所の電話線は常につながっており、タクシー利用客が貰うレシートにはその電話番号が印字されていますから、電話が鳴るリスクがあります。

大抵は忘れ物の問い合わせです。1日に1件程度入ります。見つかったら連絡する旨を伝え、相手の個人情報を聞き、メモを取り、電話を切り、寝ます。

電話で厄介なのが、クレームです。残念ながら、100台規模の営業所、月5回の当直勤務で、年に10回近くは遭遇します。そこそこの確率です。多くは親身に話を聞いて、謝罪すれば終わります。「てめぇに謝ってもらってもしょうがねぇんだよ」と話が進んだ場合は、「明日以降、上職の者から電話させます」と言って話を終わらせて眠りましょう。

その他、「交通事故を起こしちゃった、どうしよう」という電話が乗務員さんから来ることがあります。負傷者の救護と110番、といった一般常識を指示して、帰庫するように伝えて、寝ます。帰庫してきたら、起きて、話を聞き、明日事故担当者が出社した時にもう一度報告してくれ、と言って、乗務員さんには新しく別のタクシーを配車し、車両点検をさせ、出庫を見送り、寝ます。

一番帰庫が早い乗務員さんは、2:00に事務所の窓を叩きます。この時までには起きて、PC等の設備を全て立ち上げて、事務所の鍵を開け、終業報告の確認と納金処理を行います。

終業報告は、一日平和だった場合「なんにもないです」の一言を聞いて終了です。忘れ物があった場合は預かります。クレームの電話が入っていた乗務員さんだった場合は、何があったのか詳しく事情聴取し、メモを残します。終業報告は、終業点呼とも呼ばれ、やはり法律で実施が義務付けられています。

納金処理は、料金メーター機器のデータをメモリーカードで吸出し、PCに読み込み、売上のデータと、乗務員さんの提出する現金、クレジット伝票、タクシーチケット等の情報が全て合致しているかどうかを確かめます。たまにGPSのエラーでタクシーの運行記録が正常に読み取れないことがあり、その場合は、いつどこで客を乗せてどこで降ろしたか、全て乗務員さんから聞き取り、PCで入力し直します。売上が合致し、エラー修正等が無事に終了すれば、乗務員さんを家に帰します。

終業報告と納金処理を何十人分か終わったら、6:00になっているので、日勤の運行管理者が出社してきます。交通事故やクレームのメモ、忘れ物などの特異事案を引き継ぎます。現時点で納金処理額に相違がないか、現金の合計と総売上を複数人で照らし合わせます。問題がなければ、まだ帰庫していない乗務員さんを見捨てて8:00には帰ります。基本的には翌日は公休になりますが、月に公休は7日しかないので、もう7日使い切っている場合は、翌日6:00に出社です。

かなり駆け足ですが、これが若手運行管理者の業務一般となっています。

よかったこと

まず何よりも、労働日の余暇がものすごく長い、ということです。日勤時の定時が午後二時半ですから、昼下がりから遊び放題です。出ようと思えば息子の部活にも出られます。

そして、当直勤務の後は、なんと午前八時過ぎには帰れます。そのまま息子の学校へ行き朝礼に出ることも可能です。

また、就業時間中でもかなり自由度が高く、まず昼休憩が時間で区切られていません。暇な場合は好きな時に昼食をとりに出られます。

さらに、タクシーを運転して外出する機会が多いため、車検回送と称して遊びに行ったり、ということもある程度は可能です。GPSで行き先がわかってしまいますが、私の会社では黙認されていました。

仕事内容のメリットでいえば、タクシー乗務員さんの多くが、「第二の人生」としてタクシーの世界に飛び込んできているので、出庫立会等でいろいろな話を聞くことができ、面白いです。イベント会社の社長さんで競走馬を何頭も所有していたとか、ミュージシャンとしてメジャーデビューを目指して20年、タクシーを運転しながらチャンスを探しているとか、非常に多彩な人生経験を聞くことができ、さながら毎日物語を読み聞かせられているようです。

また、乗務員さんに気に入られると、さまざまなものをくれます。飲み物は勿論のこと、ご飯、調味料、映画DVD、色々ありましたが、私は自宅のネット環境すらも、乗務員さんから貰ったルータで構築しています。

乗務員さんとしては、賄賂の気持ちもあるのだと思います。運行管理者が若手のうちに色々世話してやり、将来役職持ちになったら、新車で乗務させて貰おうとか、違反を揉み消して貰おうとか、そういったことを考えてのことです。

個人的には良い思いしかしていないですし、実際に所長補佐まで出世した挙句、過去の恩は全て忘れ、何も便宜を図らず、毅然と運行管理に勤しんだ私としては、収賄を奨励します。

大変だったこと

休日が少ない、というのが最悪の欠点です。前項の内容からは、仕事中もずっと遊び放題といったことが想像できますが、休日の数は実に年間84日であり、盆暮れ正月も特に休めません。タクシー会社は年中無休で営業中です。運行管理者の方も年中無休で、事務所に常に誰かいる状況にしておかないと、違法になってしまいます。

有給休暇制度はありますが、取得は大変です。100台規模の営業所で、運行管理者は6人程しかいないのです。1人が当直で12:00出勤、1人が昨日の当直で今日は8:00に帰ってしまい、1人が普通に公休日だったとすると、10:00現在、営業所内に運行管理者は3人しかいません。この状況下で有休を申請するには、太い神経と強い心臓が必要です。

仕事内容での欠点を記すと、屋外車庫の営業所限定ですが、自然の猛威に容易に晒されるのが辛いところです。真夏でも真昼間に車両の整理整頓をしなければなりません。革張りのシートとハンドルと、エンジンキーで火傷できます。台風が来ようと大雪が降ろうと、車を放っておくわけにはいきません。

特に雪の場合は、除雪という土木作業が待ち受けています。雪がまだ凍っている朝方に乗務員さんは出勤してしまいますから、水を流しながら無理矢理に氷の固まりを引き剥がして、電柱付近に山積みにしていきます。大量の汗をかき、開始15分ほどで半袖一枚での除雪が苦ではなくなります。

その他、クレームや事故被害者への謝罪等、嫌な仕事はありますが、それはどこの接客業にも存在する苛烈なストレス労働ですので、割愛します。

タクシーの運行管理者になるには

タクシーの運行管理業は国家資格です。過去問なども販売されているため、そちらで勉強し、試験を受けて合格すれば運行管理を行えます。

正解した問題に印を付けていき、全問正解になるまで、日を置いて同じ問題を解き続ける、という方法をとりました。運行管理者はこれで受かりました。

以上「法人タクシーの運行管理」(正社員)の仕事のご紹介でした。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

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